ミャオ・シルヴァは、いつもよりゆっくりとした足取りで霧の丘へ向かいました。街に夜の帳がおり、白い霧がやわらかく丘を包んでいます。銀灰色の毛並みに夜気がふれるたび、首元のマフラーがふわりと揺れ、しっぽも静かに踊ります。
静かな風が頬を撫でていき、耳は霧の中の小さな音をひとつずつひろっていました。丘の上から見下ろすと、ルナ・ティレルの街の灯りがまるで星屑のように揺れ、霧のヴェール越しに優しく輝きます。
ミャオはそっと息を吸い込んでみました。夜霧には土と草と、遠くで焼かれるパンの香りがほのかに混ざっています。その香りや静けさは、心をほっとあたためてくれるものでした。
「うん、今日もいい夜だな…」
そうつぶやきながら、彼女はしばらく夜の静寂と光の海を味わっていました。

コメント