春の息吹が微(かす)かに街へ香りはじめる朝、ミャオ・シルヴァはふわふわの寝癖を直さないまま、月読通りをゆっくりと歩きました。道脇の花壇には、小さなクロッカスがひっそりと咲きはじめ、淡い霧が通りをうすく包んでいます。
通りのほどよい静けさが、まだ目覚めきらない身にはやさしく、ミャオは耳をぴくりとうごかしながら、一軒の雑貨屋の前で足を止めました。店先には、色とりどりの春色リボンや、草の雫のようなビーズが並んでいます。
霧ごしのやわらかな光を受けて、ガラス細工やリボンがほんのり虹色にきらめき、ミャオはゆっくりとそれらに目を落とします。手にとることはせず、ただ静かに眺めるだけ。ひんやりとした朝の空気に包まれ、世界が目覚めていく匂いを深く吸い込むひととき。
「今日もきっと素敵なものに出会えるかも…」そんな小さな希望を、長いしっぽがふわりと表していました。

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