春のやわらかな雨音が屋根をたたき、ルナ・ティレルの東端にある、静かな小さな図書室は朝靄のなかに溶け込んでいました。
ミャオ・シルヴァは、ふわふわの毛布を膝にかけ、窓辺の席にそっと腰かけます。外の景色は水彩画のようにぼんやりとかすみ、木々も道も静かな雨に包まれて優しくまどろんでいるようでした。
ぽたり、ぽたり。窓に当たる雨のしずくの音を聞きながら、ミャオはお気に入りの童話集を広げました。香ばしいハチミツ入りのハーブティーがそっと湯気を立て、その優しい香りがページの間を行き来します。
たまにしっぽの先が揺れて、耳がぴくんとなるのは、物語の優しいせりふに心がときめいたから。
遠くでパン屋さんの時計の鐘が響き、朝の街にもぽつぽつと活気の気配。けれど、この窓辺の静けさは、ミャオにとって春雨の贈りものです。

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