霧の丘をおそるおそる歩いていると、春の霞がやさしく頬をなでていきます。
しんと静まり返った丘の上、世界は乳白色の霧に包まれ、輪郭がやわらかく溶け合っていました。ミャオ・シルヴァは足元の草のしずくを踏まないよう、そっと歩きます。ふいに、霧の切れ間から、小さな白い蝶が翼をひるがえして現れました。
ミャオの耳がぴくりと立ち、しっぽもふわっと揺れます。ミャオは立ち止まり、静かに手を伸ばしました。蝶は指先をよけるように、くるくると舞い上がり、また霧の向こうへ消えていきます。その儚さに、思わずミャオはゆるやかな息をつきました。
丘の上では、春の微かな甘い香りと、かすかな土の匂いが混じり合っています。ミャオは静かな空気の中、ぼんやりと霧の向こうの景色を想像して、小さな幸せを胸に、また歩き始めました。

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