月読通りの石畳は、足音がやさしく響く小さな音楽堂のようです。
日が沈み、空は群青から少しずつ濃くなってゆきます。町角のランプがともり始めると、まるで星が地上に降りてきたみたい。ミャオ・シルヴァはしっぽをふわりとゆらしながら、ひとつひとつの灯りに目を細めました。
どこからか、小さな鐘の音が風に乗って聞こえてきます。その音は町に優しく溶け込み、通りに集う人や猫たちの心をほっと和ませます。
ひんやりした風がミャオの頬をなで、銀色の髪がさらりと揺れました。ミャオは耳をぴくりと立て、小さな幸せをひとつ見つけた気がして、ふふ、と微笑みます。
石畳の先には、明るく笑うパン屋さんの窓。今日は帰りに、焼きたてのパンをひとつだけ買って帰ろう――そんな気分になったのでした。

コメント