通りにはやわらかな夕暮れが広がり、ルナ・ティレルの古書店の前に置かれたベンチも、オレンジと紫の光に優しく包まれていました。
ミャオ・シルヴァはそっと腰掛け、ふわふわのしっぽの先を小さく揺らします。大きな翡翠色の瞳が空に向かい、どこか遠い夢を眺めているようです。
手元には、古書店で見つけたばかりの詩集。少し古びたページをめくるたび、甘やかで懐かしい紙の香りがふわりと立ち上りました。
小さな文字を指先でなぞるたび、詩にこめられたやさしい時間や、秋風の気配が胸いっぱいにしみてきます。耳がぴくりと動き、ときどき夕暮れの鈴虫たちの声にふと微笑みました。
遠くからパン屋の窯の残り香と、どこかのお家の晩ごはんのあたたかい湯気。そのすべてに包まれて、今日という時間はゆっくりと、やさしく沈んでいくのでした。

コメント