夕暮れが静かに終わり、夜の帳がやさしく街を包み始めた頃、ルナ・ティレルの市場の灯りがぽつりぽつりと灯りました。ミャオ・シルヴァはあたたかなマフラーをふわりと巻いて、星瞬く夜気を鼻先でくすぐりながら、石畳をそっと歩いていきます。
市場の小さな屋台からは、やわらかなオレンジ色の灯りと新鮮なハーブの香りが漂ってきました。その香りにいざなわれるように、ミャオはおっとりと足を止めます。冷たい風が耳をくすぐり、ふさふさのしっぽもぴょこんと立ちました。
ミントやタイム、レモンバーム──指先でひと枝ひと枝をそっと撫でて、どの香りが今夜のハーブティーに合うかな、と考えます。お店のおばあさんがにっこり差し出したカゴに、ミャオは選んだハーブを丁寧に入れていきました。星の光と市場の灯りの中、心もほっこり温かくなってゆきます。
「今日も、この街と夜の新しい出会い、おいしいハーブにありがとう」と、ミャオはふと胸の中でつぶやきました。夜は、まだ始まったばかりです。

コメント