ティレル湖のほとりには、月の光が水面にそっと降りています。夜はすっかり冷え込んで、空気は透き通るように澄んでいました。
ミャオ・シルヴァは、しん、とした湖岸でふわふわのスカーフを巻き、満月の明かりに誘われるように歩きます。耳がピクンと動き、足元でしっぽがゆるやかに揺れていました。
そっとしゃがみ込み、持ってきた小さなガラス瓶を湖水に浸します。冷たい水と、一緒に閉じ込めるように、月明かりも瓶のなかへ映し込んでみます。
「月のかけら、すくえたかな?」と、静かにつぶやきながら、瓶を胸の高さで大事そうに見つめました。空には星がきらきらと散りばめられ、湖面には無数の光が瞬いています。
夜風に揺れる木々の音と、足元をすり抜ける柔らかな草の香り。心もしんしんと落ち着いて、やがて静かな満ち足りた気持ちが体いっぱいに広がるのでした。

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