冬の夜、ルナ・ティレルの風鈴庭園はひっそりと静まっていました。空には淡い雲がかかり、月明りはやわらかに雪を照らしています。ミャオ・シルヴァは厚めのマフラーを巻いて庭園の入り口をくぐり、ふわふわのしっぽが小さく風に揺れました。
風が通り抜けるたび、無数の風鈴が、しゃらん、と小さく、あるいは遠く重なりながら鳴ります。氷の粒が転がるような繊細なその音に耳を澄ませ、ミャオは胸の奥に小さな灯りが灯るようなあたたかさを覚えました。
踏みしめる雪はやわらかく、夜の中にもしんとした安心感があります。冬の花と葉をつつむ雪が、ランタンのような淡い輝きで小道の両側を彩っています。
「わぁ…いい音…」
思わずこぼれたひとり言。しっぽが嬉しそうにゆっくり揺れるたび、猫の耳もぴくりと動きます。ミャオは風鈴に手をかざしてそっと願いごとをしました。
今夜の風鈴庭園の音色は、冷たい冬の夜に、やさしい魔法をかけてくれるようでした。

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