月影通りの裏手にあるガラスの温室は、ひんやりとした空気と、わずかに透ける午後の日差しを静かに閉じ込めていました。
ミャオ・シルヴァはふわふわのしっぽを揺らしながら、小さなジョウロで鉢植えのハーブたちにそっと水をそそぎます。ミントやローズマリー、カモミールの葉に雫がきらり。土から立ちのぼる香りは、冬の日にもかかわらず温かく、ほっと胸をなでおろしたくなるほどでした。
外の雲は静かに流れ、温室のガラスに淡く光を映します。丸い鉢の間を移りながら、誰にも気づかれない小さな芽のふくらみを見つけたミャオは、思わず耳をぴくりと立て、小さく「うん、いい感じ…」とつぶやきました。名も知らぬ草の小さな命にも、細やかな冬の優しさが宿っています。
しばらくすると、温室の天井を撫でる風の音が静けさの中に響き、ミャオの瞳がうっすら微笑みます。ときおり窓越しに流れる雲を眺めながら、緑と静寂に包まれた時間がそっと流れていくのでした。

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