ルナ・ティレルの本屋には、夜になるとやわらかいランプの灯りがともります。今夜は秋も深まり、しとしとと雨のしずくがガラス窓に流れています。
ミャオ・シルヴァは、ふわふわのしっぽを椅子の上にくるりと巻いて、小さな朗読会の輪の中にいました。店主が静かな声で、森や湖の物語を読みあげ 、文字たちがやさしい音になって、店内の空気を包み込みます。
しっとりした雨の音と本のある空間の匂いが溶け合い、彼女はぴくりと耳を揺らしながら、物語の世界に身を重ねていました。外の冷たさとは反対に、心はじんわりと温かく、ひとときの優しさに身を委ねて、静かに目を細めます。
朗読が終わる頃、雨にぬれた石畳を歩く足音がほんのりと響くのも、またひとつのやさしい夜のしるしでした。

コメント