ティレル湖のほとりは、午後の曇り空にやさしく包まれていました。ミャオ・シルヴァは、北側にひっそり広がる小さなハーブ園へと静かに足を運びます。
湖から吹く少し冷たい秋風が、ラベンダーやミントの葉をそっと揺らし、細やかな香りがふわりと頬をなでました。ミャオの耳もぴくぴくと心地よく反応し、しっぽもゆっくりと左右に揺れています。
園の端にある木のベンチに腰かけると、足元ではカモミールが白い小さな花を咲かせていました。遠くで鳥たちが軽やかに歌い、ハーブを摘む指先には土と緑の温もりがそっと残ります。
彼女は一輪のタイムを摘み取って、手のひらに乗せて香りを確かめました。素朴で優しいその匂いに、ミャオはふっと目を細めて微笑みます。
曇り空の日は音も匂いも、ほんの少し静かに心に届くのです。

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