湖畔にやさしい黄昏色が降りてくるころ、ミャオ・シルヴァはふんわりとした膝掛けを肩に羽織り、ティレル湖のほとりへゆっくりと歩いて行きました。
湖面は静けさに包まれ、ゆるやかな波が銀色の月明かりをゆらゆらと運びます。ミャオは大きな翡翠色の瞳をきらりと輝かせて、そっと座りこみました。お気に入りの童話集のページをめくる手が、夜風にふわりと揺れます。
遠くでカエルがぽちゃん、と音を立て、彼方の森では鈴のような虫たちの声が静かに重なります。淡い雲が月を隠し、ほんのりと冷たい風がミャオのしっぽをやさしくなでました。
やがてページを閉じると、ミャオは小さくため息をつきます。「夜が静かに深まっていくのって、不思議な安心感…」そう心でつぶやきながら、月の光の揺れる湖をしずかに見つめていました。

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