08月02日 19:30 灯り草の坂道

坂道を登ると、町の灯りがそっとともり始めました。まだ暑さが残るけれど、柔らかな空は薄紫色に染まり、東側には静かな一番星がひとつきらりと顔を出しています。

ミャオ・シルヴァは銀灰色の毛並みを夕風になびかせて、ふわりと歩いていました。道端には夏の不思議な草「灯り草」がぼうっと淡い光を灯し始めていて、しっぽが面白そうに揺れます。

「あ、灯り草……毎年この時期だけ、風に揺れると優しく光るんだっけ…」と小さくつぶやき、その小さな灯火をひとつ、またひとつと指先で追いかけてみます。

暮れてゆく世界に、やさしい音も気配も満ちていました。灯り草の光が道案内のように並び、たしかな夏の夜の訪れを告げてくれる。ミャオは一番星を見上げて、少しだけ心の奥がぽっと温かくなりました。

こんな静かな時間がもっと続きますように、と願いながら、しばし坂の途中で足を止めたのです。

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