ティレル湖の東側には、毎年春になると淡い桜色のトンネルが生まれます。朝の光を浴びて、桜の花びらはやさしく風と共に舞い降りていました。ミャオ・シルヴァはその並木道を、足音も静かに歩きます。銀灰色のしっぽが嬉しそうに左右に揺れていました。
ふわりと落ちてきた花びらの間を、きらきらした小さな羽虫がひとつ、目の前を横切ります。ミャオは思わずそれを追いかけて、心地よい木漏れ日の中をぴょんぴょんと跳ねました。耳がぴくりと立ち、笑顔がこぼれます。
湖から運ばれるかすかな水の香りと、桜の甘い匂いが朝の空気にやさしく混ざり合っていました。時折、小さな風が吹くたびに、頭の上にも花びらがふわり。春の朝の出来事を静かに胸に、ミャオはまた一歩、やさしい今日を踏みしめます。

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