ティレル湖の岸辺に座り込み、ミャオ・シルヴァは冷たい石をひとつ、ふたつと指先でたどりました。
冬の日差しはもう傾き、水面をやわらかな黄金色に染めています。遠くの山も、青く溶け込むように沈黙していました。シルヴァのしっぽは、湖のさざ波と同じように静かに揺れて、耳は時おり北風の音に小さくぴくぴくと反応します。
手のひらで選んだ平たい石を、そっと湖へ投げてみます。ぽちゃん、ぽちゃん、と優しい音を立てて少し跳ね、やがて波紋となって広がっていきました。
「いい感じ…」
ほんのり心がやわらかくなり、何度か石を跳ねさせては、夕暮れの光のなか静かに深呼吸をしました。
湖の周りの葦も風に揺れて、世界が今日もやさしいまま一日を終えようとしていることに、小さな幸せを見つけるのです。

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