夕方の「ルナ・ティレル」は、やわらかな琥珀色の陽だまりがストーン街を包みこんでいました。ミャオ・シルヴァはお気に入りの小道をゆっくりと歩き、揺れるしっぽと耳で初夏のそよ風を楽しみます。風鈴の庭園から、りん、と透明な音色が遠く響いてきました。
道ばたには小さな白い花が咲き、ほのかな甘い香りが鼻をくすぐります。ミャオは足を止めてひとつ、花の香りを吸い込みます。「わぁ、いい香り…」と、ついひとりごと。やさしい夕焼けの光の中で、銀灰の毛並みがほのかに光っていました。
パン屋の煙突からは、焼きたてパンの香りも流れてきて、お腹がふと鳴ってしまいます。日が沈む前の、ほんのりあたたかい時間――今日も静かな幸せが、ふんわりと胸を満たしていきました。

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