月読通りには、いつもより少し長く淡い茜色の風が流れています。
石畳の端をふわふわのしっぽでなぞりながら歩いていたミャオ・シルヴァは、ふと香ばしい香りに足を止めました。その香りは、夕暮れの風に溶けて、どこまでも優しく漂います。少し先には、焼き栗の小さな屋台。赤いランプのした、湯気の立つ栗たちが並んでいます。
「ください」と耳を小さく動かして声をかけると、屋台の主はにこやかに紙袋に栗を包んでくれました。手のひらに伝わる温もりに、ミャオはそっと空を見上げます。夕焼けに染まる雲が、今日も静かに流れていきます。
栗をひとつ、口に運べば、ほくほくした甘みにほっと小さな幸せ。頬を撫でる冷たい風が、季節の変わり目をそっと告げてくれます。通りの灯りがひとつ、またひとつと点き始めると、耳もふわりと嬉しそうに揺れました。

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