寒さの残る春先の夜、ルナ・ティレルの燈台前広場はひっそりと静まりかえっています。石畳の上にミャオ・シルヴァはそっと腰を下ろし、ほのかに冷たい風に耳をぴくりと揺らしました。
広場にはいくつもの小さなランタンが灯されており、そのガラスの中では蛍たちがやわらかな光を描くように漂っています。彼女は両手を膝に重ね、瞬く光と光の間を、翡翠色の瞳で静かに追いかけていました。
雲が少し流れ、半分だけ見えている月が広場と水面を淡く照らしています。遠くから船の鐘が小さく響き、時おりふんわり蜜柑のような柑橘の香りが風にのって漂ってきます。
ミャオは胸いっぱいに夜の空気を吸い込み、しっぽをふわりと揺らします。夜の静けさと蛍の灯りに包まれて、心は不思議とあたたかくなっていきました。

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